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一般に高速切断機と言われる切断機は、切断砥石やダイヤモンドカッターなどの回転刃を高速で回転させて切断するものを言います。
高速の定義には確たる数値は有りません。切断条件によっても異なり切断砥石による乾式切断の場合周速度で概ね 3,000m/min〜、湿式切断の場合で概ね 1,500m/min〜2,000m/min 程度が業界の一般的な数値になっています。
周速度の計算式 周速度【m/mim】=砥石の外形寸法(mm) × 3.14 × 回転数(r.p.m) ÷ 1,000
切断砥石の取付、取替に際しては、自由研削といし取替または取替時の試運転業務に係る特別教育を受講した有資格者が行ってください。間違った取付や試運転により砥石が外れたり、破損して重大な事故を起こす恐れが有ります。
切断砥石の取付、取替以外に高速切断機を使用する際の乾式切断と湿式切断での条件の違いによる用途や特長、安全上の注意点などをまとめます。
【砥石による乾式切断】
主に補強布入りの切断砥石を使用して切断するのが一般的です。用途としては鉄工所などで鋼材の切断に使用される事が代表例で、機械自体も比較的安価で容易に速く切断できる一方、切断面のバリや焼けが発生するため精度を要求される仕事に対しては後工程での仕上げが必要になります。
特に乾式で高速切断機使用する際は、火花や粉塵が大量に発生したり、切断刃が露出している面積が大きいため回転中の刃に触れてけがをするなどの重大事故の恐れも有るので使用に際しては下記のような安全対策をしてください。
・安全眼鏡などの保護具を着用する。
・材料の脱着時には、砥石の回転が完全に停止していることを確認する。
・切断作業時には回転する砥石の正面に立たないようにする。
・切断直後のワークは非常に高温になっているため素手で触らない。
・切断砥石の側面を使用してバリ取りをしない。
また、周囲環境にも配慮して下記のような対策をしてください。
・火花や粉塵対策として必要に応じカバーや集塵機を設置する。
但し、バッグフィルター式集塵機を使用する場合は火災の恐れが有るので直接火花を吸い込まないように対策が必要です。
・周囲にガスや揮発性の強い液体、塗料などを置かない。
・燃えやすい紙や布類を放置しない。
・消火器や消火用バケツを設置する。
【砥石による湿式切断】
切断時に切削液をかけ、冷却を行いながら切断する方式のため金属の切断時には火花が発生しているにもかかわらず、切断面の熱発生がきわめて少ない切断が可能です。乾式切断に比べて砥石の切れ味自体は悪い方向に作用するので切断する時間は遅くなり、砥石の消耗は少なくなります。
冷却水は切断部にできるだけ多くかけることが重要で、少ないと切断面が焼けてしまいます。また砥石に対して左右のかかり具合がアンバランスになりますと、かかり具合の少ない方に流れて斜め切れが発生することが有ります。
砥石による湿式切断は、使用する砥石のサイズや用途によって砥石の補強布が必要になります。
一般に外径φ305以下では、補強布無しの極薄切断砥石が使用される事が多く、砥石の厚さは外径によっても異なりますが0.3〜1.5mm程度になり非常に薄く手で簡単に割れるようなものですが、高速回転させることにより切断時の強度は十分に確保されています。
用途としては、組織分析や硬度測定、断面検査用の試料作成に切断時の熱による組織変化を起こさない作業に用いられる事が多く、パイプなど鋼材を焼け無く精度良く切断するなどの生産用途にも使用されます。こう言う用途に使用されるものは高速精密切断機と呼ばれる事が多いです。
外径がφ355以上になると、補強布入り切断砥石が使用される事が多く、砥石の厚さは外径によっても異なりますが3〜6mm程度になり強度も十分で簡単に割れるようなものでは有りません。一般的では有りませんがφ355サイズでも補強布無しの切断砥石は存在します。
用途としては、大型ワークの分析試料作成時の切断、大型鋼材の寸法切断に使用される事が多いです。
湿式切断機は切削液の飛散防止用のカバーが必須で、多くは切断作業部全体を覆うカバーにより粉塵の発生も抑えられ回転する切断刃に触れる機会も少なくなるため、安全や周囲環境にも悪影響を与えることが少なくなりますが、十分に注意して使用してください。
一部のユーザーでは乾式専用切断機をきれいな切断をする為に適当な処置を施さずに湿式で使用される場合が見受けられます。乾式切断機は水による漏電対策がほとんど施こされておりませんので感電による重大事故が発生する恐れが有りますので、安易に乾式切断機を湿式で使用する事は絶対にしないでください。
以上の砥石切断以外に、回転刃以外を使用する場合や特に回転数にこだわらず切断する時間が速い意味で高速切断機と呼ばれる場合も有ります。
精密切断機、試料切断機の専門メーカーとしてさまざまな素材に対応し、分析・開発から生産用途の切断作業にも「こんな切断機が有ったら」を形にして標準機から特注機まで柔軟な発想でご提案します。
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